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芸術家・首藤教之によるエッセイ集。芸術、国家、社会、紀行といった大きなテーマから日常生活の出来事までを独自の視点で綴る。著者は1932年10月18日、福岡県福岡市で生まれ、多感な時期に福岡空襲を体験。そのときの心象が著者の芸術家としての基礎となり、本書においても平和、穏やかな日々への希求が読み取れる。著者の描いた作品、展示会風景もカラーページで掲載され保存版としても貴重。著者は本書のパート2を計画し、創作活動に飽くなき情熱を燃やしていたが、2023年4月12日、永眠。
著者 首藤教之
出版年月日 2016年3月15日
仕様 A5判・フランス製本
頁数 168頁(本文)
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炎を内包した静謐な芸術家からの伝言(ユニコの杜管理人)
首藤教之さんと初めてお会いしたのは2022年5月30日。ユニコ舎刊の戦争体験者証言集『境界BORDER』の取材のためでした。取材そのものは構成作家の安木由美子さんが綿密な下調べをして進めてくれました。取材の場を俯瞰できた私の首藤さんへの第一印象は「なんという穏やかな人なのだ」というものでした。『境界BORDER』シリーズの取材には常に同席しましたが、いつも戦争体験者の想いには圧倒されました。熱心に語るというのは当然ですが、静かに話をされていても突然涙を滲ませるという場面もあります。喜怒哀楽の起伏がとても“熱い”方々ばかりでした。
首藤さんは客観的に“戦争”を分析しながら自らの体験を理路整然と語られました。実に伝わりやすい言葉でしたが、そのときはまだ伝わりきれていませんでした。首藤さんの想いを形にした『境界BORDER』第2集の「描いた飛行機は平和な大空へ」を読み、作品展で首藤さんの作品を見て、そして『伝言ノート』をふたたび読む。どれも穏やかに表現されているのですが、その中に怒りにも似た炎が隠されていると感じました。
本書の「はじめに」で首藤さんは以下のように綴っています。
――僕は1945年の終戦がもし秋になったならば、あの沖縄の中学生たちがそうであったように、粗末な爆弾の束を抱えてアメリカ軍の戦車に突進して死ぬということにならねばならなかった世代であって、その戦時体験と人生観、社会観は否応なしに強く統合している。そして、芸術文化観、全体とも切り離しては語れない関係を持っている。この本の中でも、体験や戦争を描いた作品のことについても多く語ることとなった。
1947年に創刊された日本美術会の機関紙「美術運動」のブログで首藤さんはこうも綴っています。
――なぜ、あの戦争の時期の作家の作品はもとより、生き方の歴史に、物語に注目しなければならないか。それは、それらが、過ぎ去った過去の物語ではないからだ。そっくりの物語が、今、我々の周囲で進行し、新たな「戦前」の匂いが立ち込めようとしているからだ。
昨今のきな臭い世界情勢において、怒りの炎を内包した静謐なる芸術家・首藤教之が果たさねばならない役割はまだまだあったはずです。首藤さんは2023年4月12日に他界。死者はもう語れません。しかし、首藤さんが残した本が豊かな社会を創るための伝言を饒舌に語り続けていくのです。
本書はご遺族の同意を得て、“ユニコの杜推奨図書”として扱わせてもらうことになりました。ご遺族のご厚意に心から感謝を申し上げます。
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